納棺師日記

納棺師日記

お通夜についてのあれこれ(前編)

 

皆様こんにちは。Kです。

今日はお葬式勉強シリーズ第3弾前編、お通夜について喪主側のポイントを一緒に勉強していきましょう。会葬側のポイントは今書き上げておりますので整い次第アップしますね!

 

第1弾 

lastmakeamane.hatenablog.com

 第2弾

lastmakeamane.hatenablog.com

 

 

今回もとてつもなく長くなると思いますので興味のない方は今すぐブラウザバック!!!

では早速行ってみよう!

 

 まずはざっくりお通夜ってなに?というところから!

 

お通夜は「夜を通じて」と書きます。もとは、近親者が故人様の枕元で、夜を通してかわるがわる見守りをしたことがお通夜の由来といわれています。もとは「夜伽」(よとぎ)と呼ばれていました。なぜ、そのような寝ずの番が必要だったのでしょうか。それは、故人様が本当に亡くなっているのかを確認するためでした。現代では、心拍停止、呼吸停止、瞳孔の反応停止をもって医師が死亡を確認してくれます。しかし、そのような基準がなかったころは、もう蘇生の見込みがないことを、時の経過によってしか判断できませんでした。よって夜伽が終わって朝になっても息がなく、蘇生不可能と判断されたら埋葬を行っていたと考えられています。また、死者に近寄る魔を封じるという意味合いや、近親者による忌み籠りという側面もあったようです。

お通夜の作法は地域によって違う

お通夜の作法は、地域によって違います。その地域におけるお通夜の作法を理解していなければ、まるで見当違いな行動をしてしまうことが少なくありません。遠方の葬儀に参列する場合には、特に注意が必要です。お通夜の作法は、大きく2つにわかれます。法要のようなお通夜と、親族のみのお通夜です。それぞれざっくり嚙み砕いて解説します。

 

都市部に多い、法要のようなお通夜

 

都市部に多いのが、法要の形式をとったお通夜です。お通夜の会場にいすを並べて受付を設け、参列者を迎えます。定刻になったら、僧侶が棺の前で通夜経を読み、喪主を初めとして参列者が焼香を行います。弔辞や弔電の読み上げがない以外はお葬式と雰囲気が変わらないので、どちらか一方のみに参列する人も少なくありません。一般的には、夕方から営まれるお通夜のほうが参列しやすいため、一般参列者はお通夜に出席し、お葬式は近親者のみで行う傾向があります。お通夜とお葬式があまりにも似通っているため、最近ではお通夜を省略しお葬式だけを行うワンデーセレモニーを打ち出す葬儀社が増えてきました。このタイプのお通夜は「半通夜」と呼ばれ、通夜ぶるまいの後は親族らも眠りにつき、次の日のお葬式に備えます。

 

東北などにある親族のみのお通夜

 

とくに東北などに多いのが、遺族の自宅で行う親族のみのお通夜です。親族が揃ったら棺を前にして座り、僧侶が短い通夜経をあげた後は通夜ぶるまいを行います。僧侶が来ず、喪服を着ない場合もあり、とくに「通夜」とも呼ばれず、「ウチの地域には通夜がない」といわれることも少なくありません。このように形式ばったお通夜のない地域では、お通夜そのものよりも、その前に行われる納棺の儀式のほうが重要なケースが多いでしょう。まだ日の高いうちから親族が集まり、故人様の身体を拭いてあげるなど着替えを手伝って納棺し、その後の会食として通夜ぶるまいがあるというケースです。もしも都市部のお通夜に慣れている人が、喪服を着て香典を持参しこのようなお通夜に訪れたら、やや場違いになってしまうので注意しましょう。ただ、風習の違いによって生まれる失敗は、取り返しのつかないものではありません。親族も事情を分かってくれます。繰り返さないよう注意が必要です。

 

 通夜の手順について

 

 ご遺族や近親者、親しくしていた友人たちが集まり、故人様の冥福を祈るのが通夜です。死亡した当日の夜は近親者だけで仮通夜を行い、翌日に納棺して本通夜を行うのが普通です。

通夜の時間
以前は夜通し行われていましたが、現在では半通夜といって、午後6時ごろから始め、9時か10時に終わるのが普通です。

式次第
一、一同着席
僧侶が到着したらいったん控室に案内し、茶菓の接待をしてから着替えてもらいます。その間、通夜に参列する人は席に着きます。棺に近いところから、喪主、肉親、近親者、友人、知人と、故人様と親しかった順に続いて座ります。

二、僧侶入場・読経
一同が着席し終えたら、進行係が控室の僧侶を案内し、読経が始まります。

三、焼香
読経は普通、20~30分かかります。その間、僧侶か進行係の合図に従って、喪主から席次の順に焼香します。読経のあと説教がある場合は、説教(説法、法話といわれる場合もあります)後、焼香に移ります。
焼香する時は僧侶に一礼して祭壇の前へ進み、終わったら同席している人に一礼して戻ります。

四、僧侶退場と通夜ぶるまい
全員の焼香が終わったら、進行係は僧侶を通夜ぶるまいの席に案内します。喪主は、弔問客にお礼の言葉を述べ、通夜ぶるまいの席へと案内をします。
通夜ぶるまいがお開きになって弔問客が帰るときは、喪主は見送らないことになっています。退席のタイミングは遅くとも10時頃までです。

 

 

 

通夜式の前に納棺

 

通夜式の前にはご遺体を納棺します。
納棺するに際しては、互助会・葬祭業者のスタッフが指示し、手伝ってくれます。
納棺したら、柩*1を祭壇に安置します。その後、居合わせた人で焼香します。

納棺するに際しては、結婚指輪などのアクセサリー類の燃えないものははずすようにします。
かつては納棺の際に、故人様が生前に愛用していた品を燃えるものであれば、一緒に副葬品として納める風習がありました。
しかし、最近では環境保護や火葬場の火力の観点から、柩には副葬品はできるだけ入れないようになりました。
どうしても入れてあげたいものがあれば、火葬後に遺骨と一緒に骨壷に納めるようにします。

納棺に先立って、故人様の衣類を着替えさせます。かつて、仏式葬儀では死装束という特別な衣類を施しました。
死装束は故人様を浄土へ旅する僧侶や巡礼になぞらえ着せたものです。頭陀袋*2(ずだぶくろ)には六文銭を入れますがこれは、三途の川(さんずのかわ)の渡し賃とされています。
経帷子(きょうかたびら)は、今日では葬祭業者が用意するのが一般的です。経帷子以外の付属品は、宗派によって多少の違いがあります。
最近では、死装束を着せることは少なく、浴衣や愛用の服などを着せることが多くなりました。
なお、浄土真宗では経帷子を用いることはもともとありませんでした。死出の旅をすることなく、死後すぐに極楽浄土に行けるとするからです。
神式やキリスト教式では、とくに決まったものはなく衣服は自由です。

*1:故人様のはいられていない空の棺を「棺(ひつぎ)」。ご納棺されている棺を「柩(ひつぎ)」といいます。

*2:“頭陀”(ずだ)とは、梵語のDhūta(ドゥータ)の漢訳音写であり仏教僧侶が行う修行(頭陀行、乞食の行)のことである。したがって、頭陀袋とは、本来この頭陀行を行う僧侶が、携行用に用いた袋のことであった。「頭陀」の梵語の発音はドゥータであり、「杜多」とも音写されるが、辞書では、「頭陀袋」は「ずだ袋」と濁ったもののみが立項されている。

別名として三衣袋(さんえぶくろ)、衣嚢(えのう)、打包(だほう)ともいわれる。時代を経ると、これらの衣だけでなく行乞で供養してもらった物などや仏具なども入れるようになった。したがって、今日、運搬用で雑多な物を入れる袋を“ズタ袋”などというのはここに由来する。

また近世になって、仏式葬儀の際、死者の首から提げる袋も“頭陀袋”というようになった。これは、これから仏教修行の旅に出るという意味合いであり、白い布製の頭陀袋の中には、紙に描いた六文銭を入れる。

 

 

僧侶の出迎え
僧侶が到着したら控室に案内し、喪主と世話役代表が挨拶を述べ、茶菓の接待をします。このとき、互助会・葬祭業者の担当者も交えて、通夜・葬儀について僧侶と打ち合わせ確認をしておきます。このあと、着替えてもらい、通夜ぶるまいを受けてもらえるかどうかの確認もしておきます。
参列者が席に着いたら、接待係が僧侶を案内して入場してもらいます。

僧侶へのお礼
僧侶が通夜ぶるまいを辞退した場合や、通夜ぶるまいの席をとくに設けない場合は、一万円程度の「御膳料」を包みます。また、交通費として三千円~五千円程度の「御車代」も包みます。
一般的に読経料や戒名料といわれている謝礼(これはすべて「お布施(ふせ)」として包みます)は葬儀後に遺族が寺に出向いて渡すのが本来です。しかし、「御車代」や「御膳料」は、そのつど渡すようにします。
御車代や御膳料は、奉書紙や半紙に包むか、白い封筒に入れ、「御車代」「御膳料」と表書きすればよいでしょう。
弔事とはいえ、僧侶側に不幸があったわけではないので水引はつけないようにします。

 

通夜ぶるまい

通夜のあと、喪家側が弔問客を酒や軽い食事でもてなすことが一般的です。通夜ぶるまいには弔問への感謝の気持ちとともに“故人とこの世で最後の食事を共にしてもらう” “最後の交わりをしてもらう”という意味もあります。
通夜ぶるまいでは、かつては肉や魚類などの生ぐさいものを避け、精進料理を出す習わしがありました。しかし、最近ではあまりこだわりません。寿司、サンドイッチなどをふるまうことが多いようです。
料理は、互助会・葬祭業者に依頼して用意するのが一般的です。
また、酒には「けがれを清める」という意味があり、通夜ぶるまいの席にはつきものですが、弔問客にひととおり行き渡る程度にします。

 最近では、通夜ぶるまい自体簡略化される傾向にあり、弔問客に折り詰めや日本酒の一合びんをセットしたものを持ち帰ってもらい、通夜ぶるまいに代えるケースも増えてきました。
なお、通夜ぶるまいは弔問客だけでなく世話役や諸係の人にも出します。

 

喪主の挨拶で締めくくる

予定の時刻(午後の9時~10時頃)がきたら、喪主か世話役代表が終わりを告げ、お礼の挨拶をします。
遺族は見送りには出ず、座ったままで挨拶をするか、目礼をして見送ります。

通夜ぶるまいが終わっても、喪主は見送りはしません。 座ったまま挨拶するか、目礼をして見送るだけにします。

 

喪主開会の挨拶の例

本日は、お忙しい中、父○○のためにお運び下さいまして、誠にありがとうございました。故人もさぞかし、喜んでいることと存じます。遺族を代表いたしまして心よりお礼申し上げます。
つきましては、ささやかではございますが別室のほうにお席を用意いたしましたので、お時間が許す方はぜひ箸をつけてくださいますよう、ご案内申しあげます。

 

通夜ぶるまい閉会の挨拶
皆様のお陰をもちまして、無事に父○○の通夜を務めることができました。ほんとうにありがとうございました。故人もさぞ喜んでいることと思います。
明日のご予定もおありとは存じますので、今夜はこれでお開きにしたいと思います。本日は誠にありがとうございました。
なお、明日の葬儀は午前10時半からでございますので、よろしくお願いいたします。

 

あくまで例文ではありますがこのような形でも礼節を伝えられればオッケーです!

案の定とても長くなりました…ここまで読んでいただいてありがとうございます!ご希望があれば宗派についての記事も書いてみたいですね…

次の記事はお通夜の会葬側のポイントです!こういうの義務教育で教えてくれればいいのに…なんでもかんでも不謹慎不謹慎言いおって……

 

 

 

ではまた。

 

 

 

(筆者:中の人 K )